2021.07.27
未経験でも!女性の転職でカスタマーサクセスが推される理由6つ
インサイドセールス、UXデザイナー、データサイエンティスト……。
世の中は移り変わり、変化のスピードは早く、これとともに私たちの働き方やキャリアのあり方は変わり、同じ職種でも中身が大きく変わったり、かつてなかった新しい仕事もどんどん増えています。
「カスタマーサクセス」という職種も、そのひとつです。
それは、女性プロフェッショナルの活躍が目立つ職種であり、未経験でも比較的飛び込みやすい新しい職種であり、21世紀最もセクシーな職業として注目を集める職業でもあります。
そこで本記事では、なぜカスタマーサクセスが女性にフィットするのか。女性が働き輝き続ける仕事として注目を集めるのか。その辺りの気になるアレコレを考えています。
変化の荒波に乗って、常に自らをアップデートし続けようとする女性たちへ。本記事が、キャリアの不確実性と向き合い、自分らしく継続的に働き輝き続けたい女性の参考になれば幸いです。では、参りましょう~!
目 次
【1】リモートワーク可能。場所や時間の縛りが比較的少ない
カスタマーサクセスは他に比べて、場所や時間の縛りが少ない職種です。
リモートワークが可能な職種なので、カスタマーサクセスの部門を設けている企業では、在宅業務を推奨しているところも珍しくありません。また、フレックスタイム制度やシフト制度など、柔軟な働き方を積極的に導入する先進的なテック企業が採用を行っていることが多い分野でもあります。
つまり、働き方の選択肢が広く主体的に働く場所や時間を決めやすい。
1人ひとりのライフステージや家庭環境、会社への貢献度に合わせたキャリアアップなどに比較的柔軟に対応しやすい職種であるということもカスタマーサクセスも女性に注目を集めている要因のひとつです。
【2】ジェンダー・パリティ(公正)への期待と可能性が大きい
カスタマーサクセスが一定以上の成熟をしている文化的な先進企業では、女性活躍の推進やロールモデルづくりに積極的な企業が多く見られます。
企業の視点に立ってみれば、少子高齢化に伴い労働人口の減少や働き手が減少する中にあって、女性の活躍やワーク・ライフ・バランスなどの推進に遅れていては採用競争を勝ち抜くことはできません。
とくにカスタマーサクセスを導入する企業に多い成長市場に属する新興系のテック企業では、女性活躍・ワーク・ライフ・バランス・多様性といった領域で人事施策で先んじ、新たな価値観を柔軟に取り入れ社会的な価値を醸成していくことが、熾烈な市場環境で生き抜くために重要です。
その証拠にカスタマーサクセスの分野では、企業から女性の転職潜在層に向けたイベントやメッセージを、たくさん見かけることができます。
そもそもカスタマーサクセスは、単なるチームとしてではなく、すべての部門や役割に影響を与える総合的な企業理念や文化として存在すべき概念です。
それは、ダイバーシティの考え方や文化をもって、カスタマーサクセスを受け入れ、より良いビジネスを行う企業のロールモデルとして、道を切り開く機会でもあります。
つまりカスタマーサクセスという職種には、専門職として雇用される男女のジェンダー・パリティ(公正)への可能性があります。
【3】復職やブランクに強い「専門性」 〜その希少性と市場価値〜
女性のキャリアは不確実なライフイベントの転機とともにありますが、男女問わず何かしらによってキャリアが中断された場合、その後のキャリア形成あるいは転職の際に心強いのは「専門性」です。
その多様な仕事や役割からキャリアパスの可能性にはさまざまな注目が集まるカスタマーサクセスですが、その職種内に限ってみてもキャリアアップの道は最低でも2つあります。
ひとつはカスタマーサクセスチームを管理するマネジャーまたはリーダーとしてキャリアを積む管理者としての道。もうひとつが、現場の実務者としてカスタマーサクセスマネジャーを極める道です。カスタマーサクセスが適切に機能している先進企業では通常、これらのキャリアパスについての議論が今まさになされているはずです。
これに加えて、カスタマーサクセスという職種には、「スペシャリストが少なく希少性が高い」「働き方の柔軟性」「身につくスキルにキャリアを転換しやすい汎用性がある」などの理由から、他職種に比べて優位性があります。
明確な売り(専門性)が、なぜ不確実の備えになるのか
長年企業の総合職として活躍していた優秀な女性が、数年間のブランクから復帰しようとするときに、転職活動に苦戦するケースは珍しくありませんが、これらはゼネラリストとして育成されてきていることと関係があります。
例えば、事務と人事とセールスをそれぞれ2年ずつ計6年間勤務して、ブランクのある30代女性前半の女性がいたとします。
人事として採用する側の立場になると、2年の経験しかないジュニア人材の採用という扱いになってしまいます。採用企業としては、年齢と経験のバランスやブランクなどを鑑みると、第二新卒を採用した方が良いという判断になってしまうのです。
一方で、専門的な職能を身につけ、経験や実績を積むことで、出産や育児で一時的にキャリアのブランクがあっても、就職先の選択肢が広がり復帰のしやすさにもつながります。
また、このような“強みを伸ばし続ける”キャリア設計は、慣れ親しんだ仕事を繰り返すことになるので、仕事に大きな負荷がかからず、プライベートとの両立がしやすいのです。
【4】キャリアアップの道が多様。女性リーダーも多い
カスタマーサクセスの経験を活して、事業のトップに昇り詰める道もあります。
具体的には、カスタマーサクセスマネージャーから、それを束ねるカスタマーサクセスの責任者へと道を進め、さらには契約後の顧客体験すべてに責任をもつCCOへ。あるいは事業全体の業務執行を司るCOOや全体のレベニュー(収益)に責任をもつCROへ。といったようにCのつく役職に昇格する道です。
カスタマーサクセスは事業の根幹に関わる概念です。それは文化であって目的であって、企業の売り上げを左右する重要なポジションです。顧客の抱える課題のみならず、プロダクトにも精通するが求められる環境で培ってきたそれらの経験は上の職務に活きてきます。
また、カスタマーサクセスは新しい職種であるだけに、歴史あるほかの職種と比べて社内でその分野で輝かしい実績を残してきた先達がいません(または少ない)。つまり、職場で上が詰まっていません。したがって、ポジションとして高い位置に昇りえます。かつ昇進のスピードも早いのです。この辺りは、とくに女性にお伝えしたいところでしょうか。
事実、2019年にLinkedIn社が発表した米国で「最も有望な仕事(the most promising jobs)」及び「最も成長している仕事(the fastest growing jobs)」において、カスタマーサクセスマネジャーが「3位」に選ばれていましたが、そこでの出世スコアは10点中満点でした。
加えて、この分野の業務で培った多様な経験やスキルは幅広い事業分野で活かすことができるので、実際、米国ではプロダクトマネジメント、マーケティング、営業、セールスエンジニアリングや人事、プロダクト/事業開発、オペレーション、リーダーシップなど幅広い分野で多くの女性が上級職へのキャリアアップを遂げています。
それらの影響を受けて現在、国内でもライフイベントも含めたさまざまな角度からロールモデルに関する多様な議論が活発になされているかと思いますが、今後さまざまな事業分野からカスタマーサクセス経験者の女性リーダーが登場してくることでしょう。
【5】新しい何かを学ぶ機会に拓かれている。常に!
カスタマーサクセスは、社内で一番カスタマーの要望を聞く機会が多い仕事です。
自社プロダクトでカスタマーが解決しようとしている課題を直接知ることができます。社内で最も顧客の近くで自社プロダクトの利用のされ方を観察し理解できる、貴重な機会に恵まれています。そうした環境で経験を積んでいる人材から得られるインサイトは、社内のあらゆる部門にとって欠かせない情報です。
したがって、カスタマーサクセスは部門の垣根を超えて社内のあらゆる人たちと仕事をすることになります。
セールスやマーケティング、プロダクトに事業開発、人事、役員室……。
ユーザさんと営業や開発などを繋ぐ役割としてプロダクトのハブとも称されるこのあるカスタマーサクセスは、垣根なく、実に幅広く部門に関わっていくことになります。そこが、この職種の面白いところでもあります。
たとえば、自社プロダクト・サービスの改善に携わりプロダクトの価値を高めていくこともカスタマーサクセスの大切な役割のひとつです。その際には、プロダクトマネージャーやエンジニア、デザイナーの方々と協力して、新たな機能を考えたり、不具合を改善したりすることがあります。
または、セールスやマーケティングと連携して、プロダクトの価値を伝える仕事に携わることも。
そのように他部門とのコミュニケーションも含め、組織のさまざまな人たち、サービスについて多様な情報や知識に触れていくなかで、次のキャリアにつながる、新しい何かを学ぶ機会が日々必ずあります。
ほかの職種に興味を抱くシーン、視野が広がるシーンもあるでしょう。
【6】VUCAな世界にあって、ポータブルスキルが磨かれる
いま、私たちが置かれているのはVUCAと呼ばれる時代です。
そうした大転換変化の激しい時代にあって、「ジョブ型」雇用が広がっていますが、働く人がずっと同じ専門の仕事を続けるかというと、必ずしもそうではありません。
ジョブ型社会の浸透に伴い、現在は自分の職業人生は自分で決める時代になっています。
事実、こちらリクルートキャリアによるグラフ「キャリア移行比率」(ページ中段)を見ていただければ分かるように、転職者の3分の1が職種も業種も、“越境”しています。
反対に、同業種、同職種内で転職する人は5人に1人しかいません。時代の要請と呼応するように職種や業種を「またぎ」、主体的に仕事を選択する「またぎ転職」が増えています。現在は、自分でキャリアを作る時代です。
また、現在新たな職種としてカスタマーサクセスが注目を集めているように、これからもいまだかつてなかった新しい仕事が出てくるでしょうし、同じ職種でもその仕事の中身がまるで変わっていくこともあるでしょう。仕事を通してさまざまな経験をしていくなかで、新たな職種に興味を抱き可能性を感じることもあると思います。
そうした時代観のなかで私たちの10年後のキャリアを支える概念として注目されるのが「ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル」です。ポータブルスキルとは、語学力、マネジメント力、顧客折衝力などの業種や職種を問わず広く通用する(持ち運べる)スキルのことで、具体的な技量だけでなくパーソナリティもこれに含まれます。
カスタマーサクセスは、概念的にも行動面でも「ヒューマンファースト」とされています。
意識的に人に手をさしのべ、相手の立場に立って考えないといけません。カスタマーとの関係を作るコミュニケーション力やトークスキルが身につくのは想像に難しくないと思います。共感力や傾聴力、発信力、柔軟性、課題解決能力など、会社や部門あるいは職種を超えて活かせるポータブルスキルが、比較的身につきやすい仕事です。
これらのポータブルスキルは、ライフステージの変化に合わせて長く働き続けるうえでも強みになると、私は思います。